やまなしジュニアドクター育成自然塾

Concept

南アルプス・ユネスコエコパークと山梨大学キャンパスでの活動を通じて、
自然と社会を理解し、自由な発想で新しいアイデアや技術を創造して、
持続可能な社会の実現に未来の科学者を育成するプログラムです。
ノーベル医学・生理学賞を受賞された本学卒業生である
大村 智 先生からのメッセージ

Message

やまなしの未来を担う皆さんへ

 私は山梨県韮崎市で生まれ、川遊び、うなぎとりや農作業の手伝いを通して生物と自然の不思議を見つけたり、そこから生活の知恵を学びながら子供時代を過ごしました。私は山梨大学に入学して微生物の持つ可能性に興味を持ち、卒業後に日本やアメリカの研究施設において微生物研究に没頭しました。そして、1974年、静岡市伊東市川奈の土壌から新種の微生物を発見しました。その後、その細菌が作り出す物質を改良して、熱帯の寄生虫が原因でおきる病気の治療薬「イベルメクチン」を開発しました。この薬が発展途上国において多くの人々を病気から救った功績が高く評価され、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞することができました。

 研究をしていると、多くの失敗があり、困難に直面することもたくさんあります。私は、「人のためになることを考えてやりなさい(私の人生の原点となった祖母からの教え)」「人と同じことをやっていると良くてその人と同じで止まる、独自のことをやると人より悪いこともあるが人を超えるチャンスが生じる」
「高い志を持つ者には人々との出会いを大事にすることで思わぬ道が開けてくる」
と自分に言い聞かせ、いつも新しいことに挑戦してきました。夢や目標を見失わずに一生懸命やっていると、応援してくれる人も出てきて、いい結果につながります。私の場合には、「イベルメクチン」の開発につながりましたが、これは全ての人に当てはまることです。

 私は、『やまなしジュニアドクター育成自然塾』の活動を応援しています。ここで学ぶチャンスが、受講生の皆さんの将来を大きく変えて、皆さんが将来の科学技術をリードする研究者になるかもしれません。ここに書いた私の3つの言葉を、研究者を目指す受講生の皆さんに贈ります。皆さんの夢の実現に少しでも役立てば、とてもうれしく思います。